金田んち

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和民はあんまり安くない

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なんか和民みたいな大規模チェーンは地方都市で勝機を見出せないんじゃないか、みたいな結論にたどり着きました。根拠はなんとなくです。

http://iyashikei-danshi.hatenablog.com/entry/2015/03/19/
読みました。

内容は和民の値下げに対する言及でした。

居酒屋チェーンの低価格を支えてるのが従業員の人件費削減っていうのは周知の事実だと思います。
俺の友達にも和民ではないですが、まぁ同じような全国展開してる居酒屋チェーンで働いてる友達がいるんですけど、話を聞く限り労働基準法なんてあってないようなもんくらいに労働条件はかなり厳しいもんみたいですし。

前に書いたことあるような気もするんですが、友達の結婚式の2次会で使った某居酒屋チェーンでも、韓国人だか中国人だかわかんないですが(片言の日本語でした)、新規客の席案内から注文、飲みもの作りから料理、そしてそれを各テーブルまで運ぶっていう作業を1人でやってました。

まぁその時は開店直後の入店で、しばらく(1時間くらいかな)たったらヘルプなのかシフトなのかでもう一人従業員が増えてましたが、それにしたって従業員数が不足してることは客の立場から見ても明確でしたね。

結局、その従業員の頑張り…無茶な労働環境の押付けがメニューの低価格に繋がってると考えると、そりゃ安いにこしたことはないですが、素直に喜ぶことは出来なかったです。

で、居酒屋が低価格路線に走って競争する相手として考えられるのって、同じく低価格がウリの立ち飲み屋だと思います。価格だけで考えると、宅飲みってのも相手なんでしょうが、そこに打ち勝てるはずがありませんから考えないことにして。

としたときにも、「立ち飲み」と「居酒屋」について、たとえば同じメニューを提供しようとしても、価格で「居酒屋」が勝つことって絶対出来ないと思うんです。

「立ち飲み」って、まず客一人に与えるスペースが少なくて済みます。同じ客数を相手にするにしても、それに必要なスペースが少ないんで、必然的に「場代」が安く済みます。

次に、立ち飲み屋の全てがそうじゃないかもしれないんですけど、俺が知ってる立ち飲み屋については、大抵の商品がセルフサービスみたいなシステムで客に提供されます。

たとえば立ち飲み屋でも「角うち」って呼ばれるような店だと、生ビールは入口入ってすぐの大型冷蔵庫(コンビニの冷蔵庫を想像してもらえればいいです)から好きな缶ビールを取り出して席に持っていき、店員はそれを見て伝票に記録しておく。
豆菓子なんかのおつまみが欲しければ、店内に陳列されたものを「おばちゃんもらうねぇ」とか言って自分で席までもってきて、店員さんはそれを伝票に記載する。

角うちっていうのが酒屋での立ち飲みのことなんで、そもそも料理というほどの料理を提供する必要がないし、客が使うテーブルもカウンターだけだから、店員のおばちゃんがやることっていっても、客が帰った後の片づけとか、冷奴を皿に盛るとかくらいで、あとは客が飲み食いした商品を伝票に記録するっていう作業の繰り返しで済むんですね。

で、酒屋のスペースの一角を使って飲み食いする「角うち」じゃなく、もう少し料理を提供するような立ち飲み屋については、客は券売機で欲しい料理やお酒の食券を買って、カウンター兼厨房にいる店員にそれを渡して、店員から受け取った商品を持って自分で席を探し、そこで飲み食いする。
ショッピングセンターのフードコートみたいな状態ですね。

で、角うちにもいわゆる立ち飲みやにも言えることなんですが、こういう店には客を席に案内したり、ピンポーンのコールに反応して御用聞きみたいに客のもとで注文を取るような人が要りません。たまに客から「今日のお勧めは?」みたいな質問に答えたりっていう簡単な接客だけしてれば、あとは客が勝手に食べて飲んでしてくれるので。

それと、これも立ち飲みやが低価格に出来る要因とも言えるんでしょうけど、座って飲食する場合に比べて、立ち飲みはかなり客の回転が速いです。もちろん長時間立って飲むなんて苦痛ですから。

飲食店でのお金の使われ方って、客が店に居座る時間に反比例して悪くなっていきます。腹は満たされ食べ物は食べなくなるし、もちろん酒を飲むペースも落ちるし。でも座ってゆっくりできるんで、チビチビと酒飲みながらお喋りで何時間も居座るだけみたいなお客さんも相当数いると思います。

そんな「立ち飲み屋」のセルフサービス的なシステムを見ても、客の回転率を見てもそうなんですが、「立ち飲み屋」の低価格って、「居酒屋」に比べて客側に負担をかけることによって成り立ってるんです。

なので、「立ち飲み屋」と「居酒屋」が価格で争ったって結果は明瞭です。それで「居酒屋」の方が低価格だったり同等程度の価格だった場合には、どっかに負担が偏ってるって考えるのが普通だと思いますし、それは全国展開するチェーン店のスケールメリットを考慮したって、十中八九人件費だと思います。

で、なんで俺がこの話題に引っかかったかっていうと、全国チェーンの居酒屋の何が良いのか全く分からないっていうのがきっかけで、何か書いてるうちに何か分かるんじゃないかと思って書きはじめました。
そして、ここまで書いて感じたのは、その居酒屋に行った時に感じ取るものが少ないっていうのが要因なんじゃないかなと思いました。

居酒屋って料理とかお酒を提供して客を満足させるのが仕事なんですけど、なんつーかなぁ、客を集めて何を感じてほしいのかがイマイチ分からない。
しかも客を集めるために、自分とこの財産であるはずの店員をないがしろにする。闇雲に人件費を削るってそういうことだと思う。

ある程度の味やバラエティーに富んだメニューを提供したって、雇い主の店側からないがしろにされた店員だと何も提供出来ないんじゃないかと思います。
店に愛着のある店員が接客するのとそうじゃないのじゃ、やっぱ全然違うと思うし、俺は後者から何かを感じて好きな店って思えるんじゃないかと思う。

店員のモチベーションには、お客さんからの声掛けとか、自分の知識や技術の向上っていうのもありますけど、賃金って絶対関わってきますからね。
企業の資産と負債を表す指標にバランスシートっていうのがありますけど、従業員っていう資産価値を高めるには、それに応じた人件費や労働条件でバランスをとらなくちゃいけない思うんです。

なんか感覚的なことなんでうまく言葉に出来ないけどそんな感じです。

それと書いてて思ったんですけど、全国展開してるチェーン店、特に居酒屋関係って、地方の地場居酒屋に絶対勝てない気がしてきました。

まず味についてはどこでも食べられる味なので、まぁそれが「安心感」に繋がるのなら話は別ですが、そこじゃないと味わえないものがまずない。
いつでも味わえるものには「おふくろの味」みたいなものもありますけど、おふくろが乱立するようでは懐かしくもなんともないですからね。いつでも食べられた懐かしいあの味を食べたいって感情も湧かないだろうと思います。

それと、たとえばいくら「和民」として価格を下げて頑張ったとしても、福岡には同じ価格帯の居酒屋なんていくらでもあるんです。それも料理は美味しく、お酒の品ぞろえも豊富な店が。むしろもっと安くて美味しい店だっていくらでもあります。

それでもたとえば東京だと、和民やっぱ安いわぁみたいになるんでしょう。

それって、東京の高額な場代や人件費と、地方の安価な場代や人件費を全てほぼ統一価格の商品で賄ってるからだと思うんです。場所によってかかる経費が違うんだから、商品の料金設定だって変わって当然なのにそれがない。

つまり、全ての店舗でかかる経費を全ての店舗の売り上げで賄うんだから、土地代や最低賃金の高い東京だと安い商品でも、他の地域では相対的に高めの価格設定になってる。たとえば福岡で「ネギま」を食べようとすると、よほどの店じゃない限り200円しませんからね。

なので地方では、それほどでもない食べ物がそんなに安くはない価格で提供される。しかも人が足りず注文とか追いついてないみたいな結果になると思います。

それと、外食産業って今後どんどん衰退するんじゃないかって思ってます。俺は将来自分で細々と経営する居酒屋持ちたいなぁとか漠然と考えてますが、そういう時期には飲食業界が今よりももっと厳しくなってて足を踏み出す勇気が湧かないような気もします。

なんと言ってもこのままだと人口が減りますからね、日本は。

海外の客を呼び込みやすいような観光地とかだと、日本人が減ったって観光客向けのサービスや料理を提供するっていう形態でやっていけるかもしれないんですが、そんな事情もない土地で居酒屋したって客がいませんから。つーか人間がいない。

和民に関してはどう改革していくべきかって色々考えてるんでしょうけど、まず信用がなくなってるんし、規模もデカくなりすぎてるんで難しいだろうと思います。今変えるべきは価格じゃないんじゃないかとも思いますし。

まぁ俺も、今考えるべきは先々のニッポンとか自分の店持つことじゃないんでしょうけども。御託並べる前に目先の仕事しろやと。