金田んち

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誘拐ごっこ

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トミカおにくまんを誘拐した!返して欲しけりゃ今すぐ飯を準備しろ!」

俺はトミカおにくまんこと息子を誘拐し、iPadから嫁のアイフォンにFaceTimeで連絡をとった。FaceTimeの仕組みは良くわからんが、ネット環境があれば普通の通話やテレビ電話が出来るという優れもので、誘拐ごっこをやる際にはなくてはならないアプリだ。

なにしろ嫁にトミカおにくまんの安否確認をさせようと「ほら、何か言ってみろ」と言って電話を渡しても、携帯を耳にあてて「ふぅん、ふぅん」と言葉とは言えないような音を発するだけだったりと、こちらが思ったようには声を発してはくれない。どころか携帯を受け取りざまに通話終了ボタンをタップしたりする。

それにひきかえFaceTimeであれば、画面に映る顔を見ながらの通話のため、トミカおにくまんが画面をタップしたくなる欲求を抑えられることと、誘拐されたトミカおにくまんの表情を嫁が確認出来るため、なんとなく誘拐ごっこの臨場感が増す。なんとなくだが増すのだ。

10分くらい遡る。

嫁が晩飯の支度を終えたので「ご飯にしよっか」と声をかけてきた。その時トミカおにくまんとミルクおにくまんと俺は“とおちゃん鬼ごっこ”で遊んでいた。というより暴れていた。“父ちゃん鬼ごっこ”とは、和室に布団を敷いてリビングに隣接する和室の扉を全開にし、2人のおにくまんがいる和室からリビング側に鬼の俺がゆっくりと歩き去りながら適当なタイミングで立ち止まり、和室側を振り返りざまに「とーちゃんおにがきたぞー!!」と叫びながら、逃げる2人のおにくまんを襲うのを只管繰り返すという遊びだ。

まぁ何が面白いのかイマイチ分からないし、やたらと鬼の役だけが疲弊する“とおちゃん鬼ごっこ”なんだが、「くらくなったね、おふとんひこっか。おふとんはあそぶところよ」と言うほど2人のおにくまんはこの遊びを気に入っているようだ。ちなみになぜ布団を敷くのかというと、まだ1歳になったばかりのミルクがハイハイで逃げようとするとき、気持ちだけが先走ってしまって顔からずっこけてしまうことから施している安全対策だ。
運動不足のお父さんが子供の運動会で徒競走に参加し、気持ちだけが先走って足がもつれて転んで大けがをしまう、あれの子供版だと考えてもらうと良い。

で、その遊びをやってる最中だったので、嫁の「ご飯にしよっか」の掛け声に「まだ食べん」と即座にトミカが反応したため発せられた「あ゛!?」という嫁の声とともに、ほかほかの肉まんから氷のように変わった空気を悟った俺は、トミカの誘拐を決意した。

「まだ食べんだと!?そんなやつは誘拐してやる!!!」

ギャーギャー笑いながら逃げまわるトミカをとっ捕まえ、抱き抱えてiPadを手に取り2階へ駆け上がる。ミルクはトミカが連れ去られたのが気に食わないのか、それとも鬼役がどっかに行ってしまったのが気に食わないのか、こちらも「☆ДИ●£@!!」と何やらわからない奇声を発している。

2階の一室に入り息子を下ろし、箱買いしたオムツが入った段ボールケースの上にiPadをセットしFaceTimeを起動。かあちゃん、とうちゃん、ばーばしか選択肢のない連絡先からかあちゃんをタップ!ティリリリリリリリ.....ティリリリリリリリ...
「はーい」
「見ろおにくまん!かーちゃんとミルクが映ったぞ!」
トミカはとーちゃん鬼ごっこの興奮を忘れ、iPadの画面に目を輝かせる。画面にはかーちゃんの横でリビングのテーブルをバシバシ叩きながら「☆ДИ●£@!!!」と叫ぶミルクの姿。
トミカおにくまんを誘拐した!返して欲しけりゃ今すぐ飯を準備しろ!」
「はい!!ミルクちゃん大変!!早くご飯準備してトミカにいちゃん返してもらおう!」
「よしトミカ!飯できたぞ!階段下りるのとーちゃんがいっちばーん!」
トミカをちらちらと確認しながら小走りで部屋を出る。
トミカが階段下りるのいっちばーん!とーちゃん!ちょっとどいて!」

よいしょ、よいしょ!手すりを頼りに一段ずつ階段を下りたトミカは走って食卓の自分の席にちょこんと座り、大好物の卵焼きを食べ始めました。

ごはん食べさせるだけでもすげー疲れるけど、こんな遊びもいつまで続けられるのやら。子どもの成長もそうだけど俺の体力がいつまでもつのかも。。今のうちしか出来ないと考えながら楽しもうと思います。

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