金田んち

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これといった特徴のない定食を食べた

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今日はお盆で嫁の手作り弁当も職場近所の弁当屋も休みだったので、久々に大好きなカレー屋さんで昼飯にしようと朝から意気込んで昼休み開始のチャイムを待ちました。
チャイムと同時に財布をケツポケットにセットし、額から滴る塩化ナトリウムの味に夏を感じながら競歩で目的のカレー屋まで行きました。

カレー屋が入ったビルの何軒か隣には一蘭があって30人くらいの行列が出来ていました。カレー屋にもこんな行列が出来てたら昼休みの1時間じゃ足りないなぁと思い、エレベーターで目的の階へ。

エレベーターが到着し扉が開くと予想以上、エレベーターから出ることさえ適わないほどの待ち人たちでした。
瞬時に1歩も動くことなくカレーを諦め1階と閉ボタンを押したところ、この人は何しに来たんだとでも言いたげな不思議な顔をこちらに向ける男の子と、今日の楽しみを失い絶望した俺の目が合ったので「世の中こんなもんだぞ、頑張れ」と無言のエールを送っておきました。
あの男の子の未来はきっと明るく輝くはずです。

カレー屋がダメだったからといってこのまま何も食べずに夜ご飯を待つのもアレなので他の店を探しました。
近くに吉野家餃子の王将を見つけましたが、そこにも行列が出来ていたので、やっぱ昼時だからどこも行列なのかと半ば昼飯をあきらめ気味に帰路を辿っていたところ、俯き加減の目線の先に「宮崎名物 冷汁定食」と書かれた定食屋のメニュー看板が映りました。

ここも多けりゃ今日の昼飯は抜きだなと、空腹を満たすための最後の希望をその定食屋の「冷汁定食」に託しました。

定食屋のあるビルの3階につき、トトロのおうちのような定食屋の古風な入口の引き戸を開けると店内はスカスカでした。
これが昼時の飲食店のはずがない、まさか、と思わず腕時計を確認してしまってすみません。時刻は12時15分を指しておりました。まだ花子とアンにも間に合う時間です。

店内は4人用のテーブル席が5~6席とカウンター席が8席、夜は居酒屋で昼は定食をやってるようで、いかにもな第一印象でした。
席の案内がなかったので「いいっすか」とキャベツの千切りに精を出すコックにカウンター越しから確認し、カウンター席の一番端に座りました。

暑い中歩いたのに目的のカレーにありつけず、ただ疲れただけの心と体を癒すための「とりあえず生」をぐっとこらえ、生ぬるい麦茶を出してくれた、年の功は50代くらい、身長は145センチくらいで健康的に痩せているちょうどうちの母親のような店員さんに「冷汁定食で」と頼むと「すみません、今日やってなくて。。熱いですけど代わりにとろろ汁はどうですか」と。

生後324か月の僕は未だかつて「とろろ汁」というものを食べたことがありません。
写真付きのメニュー表にもそれは載っておらず、壁に「限定10食」と手書きされたチラシの裏っぽい紙が貼ってあるだけでした。
日本食歴324か月の僕の頭では、そのネーミングから摩り下ろした山芋をふんだんに使ったドロドロとした汁物か、あるいはとろろ昆布をこれでもかとぶち込んだドロドロとした汁物が想像されました。

せっかくお店の人がオススメしてくれたし、限定だし、未知なる食べ物への好奇心もあることから「それで(キリッ)」と注文。

とろろ汁を待っている間に他のランチメニューを見てみると、から揚げ定食やチキン南蛮定食といった、普通に美味そうなお馴染みのメニューがどれもご飯のお替り付きで700円台と、コスパとしてはそこそこだと思います。

客が少ないためか俺がメニューを見る時間が長いのか、一通りメニューを見終わるのとほぼ同時に「とろろ汁定食」が運ばれてきました。
「熱いのでゆっくり食べてってくださいね」とさっき注文をとってくれた店員さんの言葉が添えられた「とろろ汁定食」は


豚汁でした。
豚肉・にんじん・大根・こんにゃく・ごぼう・里芋・厚揚が具の、これといった特徴のない豚汁でした。
そこにさつま芋が入っていれば大好物の豚汁だったのに、これといった特徴のない豚汁定食でした。

ちなみにとろろは普通に摩り下ろしたものが皿に入ってたので、醤油とまぜてとろろご飯にして食べました。今考えると、あのとろろは豚汁にぶち込むたものものだったのかもしれません。
他のおかずは、カウンター越しのコックが手慣れた包丁さばきでトントン切り続けているキャベツの千切りときゅうりが一緒に盛りつけられたから揚げ・ひじき・漬物でした。

から揚げは、醤油とニンニクとショウガでの味付けだと思われる鶏肉にかなりサクサクの衣、ひじきも漬物も濃すぎず薄すぎず普通に美味い定食でした。
味に棘がなく、豚汁の汁面にはおふくろの顔が浮かび上がるような、やさしく安心できる味とも言えるかもしれません。
癖がない分、たぶんどのメニューを食ってもハズレはないと思います。

普段からそうなのかは分かりませんが、客が少なかったので並んでる人の目を気にしながら急いで食べなきゃいけないみたいな圧力はなく、ゆっくり食事が出来たのは食べるスピードが遅く猫舌の俺としては良かったです。

会計を担当してくれたのも相変わらず同じ店員さんで、古めかしい金額を直接打ち込むタイプレジを手際よく打ち込んで会計を済ませ「ど~も、ありがとうございました」と。

このお店の接客の教育なのか、単にこのおばちゃんが持ち合わせている気配りなのかはわかりませんが、頼んだ商品を運んできてくれた時の言葉や、会計時のありがとうのトーンなどから心地良い余韻を残し「ごちそうさま」とトトロの玄関を出ました。

以上でレポートは終わりです。
気になった方は足を運んでみてください。

ちなみに次の外食の機会にはゆっくりとカレーを食べたいので、みんな一蘭に並んでくれることを祈ってます。俺は一蘭を食べないので。

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