金田んち

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労基法をなめている・・・まぁそうかもね

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「手当がもらえるなら・・・」 残業代を求める若者は「社会をなめている」のか? (弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース

この記事を読みました。

書いてあるととはごもっともな意見でして、労働基準法にも労働時間や時間外割増賃金支払いについては明記してあります。
また、この他に労働関連の問題として、有給休暇取得に関するものもわりと頻繁に話題になっている気がします。
労働基準法より抜粋

(労働時間)
第三十二条  使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2  使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条  使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

第三十九条  使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
○5  使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

(時効)
第百十五条  この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

さて、このような労働基準法があるにも関わらず、現実にはこうした決め事をないがしろにする企業が多く存在するわけです。しかも半人前のくせして残業代をもらおうなんざ社会をなめすぎみたいなバカげた意見を言う人がいるのも事実です。

嫁が前職を退職することになった時、残った有給休暇の取得について、嫁の教育係の方も有給休暇について誤った理解をしていたため、信じられない対応をされました。

嫁の退職日(3月末)時点での有給休暇の残日数は35日(前年度からの繰越分20日、当年度分20日、取得日数5日)ほどあったと記憶していますが、残日数で3月を休みとし、その休み期間を使って次の職場の入社準備(制服の採寸や書類の準備など)と、新居への引っ越しを予定していました。

その計画については、退職の半年以上前から職場内で周知していましたが、いざ退職年の1月のある日、教育係の人から「金田さんは今年3ヶ月しか働かないから、有給も4分の1の8日しかないし、今年に入って5日使ってるから残り3日しかない。新婚旅行の5日間は休ませてあげるから、ありがたく思ってね」と言い渡されたそうです。

もちろん話を聞いた俺は、そんな数字のマジックみたいなことをすんなりと受け入れられなかったので、その考えはおかしいから、きちんと話をするよう嫁に言ったのですが、職場内で力を持った教育係の人とトラブルと、退職までの間働き辛くなるから、いくらその人が間違ったことを言ってても受け入れざるを得ないということでした。

結局、次の職場は嫁の母も働いている職場であったため融通がきき、制服の採寸は時間外での対応、役所での書類取得などは母に代理でやってもらったため何とかなったので良かったのですが、職場内で力を持った人の間違った認識による発言が、社会で決まったルールよりも現場では力を持つということに、人の上に立つ人たちは早く気付くべきだと思います。

仕事は部活ではありません。先輩絶対主義ではないのです。労働者の権利というのは、その職場での立場によって左右されるべきではなく、その権利の行使については、人の上に立つ人ほどよく理解し、自分の部下に正しく行使させるべきです。

力による理不尽な抑圧は、将来必ず自分に不利益をもたらすと思います。むしろそうなって欲しい。過去抑圧を受けたカタルーニャ州がスペインからの独立を企てているように。

とした当然の主張はここまでとして、しかしながら、小規模な会社であれば、このような決まりを守りたくても守れない企業が多く存在するというのも事実だと思います。

実際俺が以前派遣職員として勤めていた工場でのことですが、同じく派遣で働く従業員が有給を使った時、正社員の人から「誰かが休めばその分他の人が穴埋めしないといけないことが分からんのかね。分かっとけば普通有給なんか取らんよね」と愚痴をこぼされました。

従業員数10名ほどの小さな会社だったので、その正社員は経営陣兼現場作業員のような立場の人です。

その会社は車の部品として使うパイプを作ってる会社でしたが、派遣職員一人一人が受け持つ作業が違いましたし、3人の正社員も一人一人違った仕事を毎日こなしていました。なので、全職員が出勤して働くことが毎日パイプを製造し続けるための必須条件でした。

そんな体制のなかで、誰か一人でも有給をとると、製造ラインに穴が出来るため、誰かがその穴を肩代わりする必要がでてきます。
派遣職員はそれぞれ自分の仕事があるため、その穴を埋めることができず、そこに入るのは愚痴をこぼした正社員です。

他の正社員2人は、他の会社との打ち合わせでほとんど会社にいない人が一人と、発注や納品で外出しがちな人が一人です。

穴を埋める正社員の人には、普段やってる事務作業もあるので、聞いた話によると、誰かが休んだ日には現場作業の終わる6時から事務作業を始め、終わるのは12時を超えるとのことでした。

会社は労働者の権利を守るために、誰かが休んでもカバーできる人員確保をするべきだというのは当然なんですが、このような小規模な会社の場合、その人員を確保するための資金的余裕はないでしょうし、資金的には大丈夫だったとしても、全社員が出社したときには人員に余力が出来てしまいます。
余力といえば聞こえは良いですが、実際は仕事のない職員を抱えることになります。

俺は幸運にもけっこう大きな今の会社に入社できたので蚊帳の外からの主張になりますが、世の中このような現状を抱えた小規模な会社はたくさんあると思います。

労働者の権利は法律で守られてるから、有給や残業代の請求が出来ることが当然望ましいのですが、従業員に有給を取らせたくても取らせられない、残業代を支払いたくても支払えない。そんな会社って案外たくさんあると思うんです。

確かに決まりを守れるのに守らない企業も多く存在するんでしょうけど、法律に書かれた決まりを守らない企業は全て雇用者として甘えていると切り捨てられるものでしょうか。
俺は法律を盾に決まりを守れという企業への問題の押しつけよりも、この先どうしたら企業を潰すことなく労働者の権利も守れるのかを国として考えるべきだと思います。でないと、規模の大きな体力のある企業でしか、労働基準法も労働者の権利も守られないと思います。
企業努力だけで何とかなるような問題じゃないでしょ。