若者の草食化と恋愛観格差
地域格差ってあると思いますか?俺はあると思います。
都会ではいろんな人がいることが当たり前で、当然ながらそこにはいろんな文化が入り混じることも当たり前です。
しかし田舎はそうはいきません。都会には簡単に根付く文化でも、連綿と今に伝わる価値観により田舎には根付かない文化というのは確実に存在します。
田舎ではその地域そのものが大きな知り合いの集まりのようなもので、例えば俺が今日イオンの受付嬢を口説こうと試みたならば、明日には、早ければ今日中に嫁に伝わることでしょう。
よく言えば親密な、悪く言えば窮屈な、都会には存在しない田舎の目というのが確かに存在するのです。
例えば学生時代の恋愛。
中学や高校の頃、友達の誰にも内緒で交際を始め、誰にも内緒で楽しんだはずのデートなのに、翌日にはクラス中で話題になっていて担任の耳にも情報は伝達されています。
この完全包囲網的な田舎の目は、既に市民権を得たであろう「おひとり様文化」の浸透を防ぎます。
田舎の焼肉屋で一人焼肉を楽しもうもんなら、その噂はたちまち友達の間で共有され、次に会った時には必ず話のネタにあがることになります。
「彼女(彼氏)おらんの?寂しいやつやね」
そこでは1人の時間をどこでどう楽しもうが勝手だろ?という価値観は通用しません。
また、ネットは知らない人を含めた交流の出来るツールとしてでなく、主に知り合いとの情報共有のみに利用されます。おかげで完全包囲網はより強力になりました。
しかし、自分の知らない誰かがその共有される情報に関与してくることは考えにくく、また自分たちも積極的に関与していこうとは思いません。
本来情報を広く拡散するための用途であるSNSも、彼らには伝達速度の速いe-mailのようなものとしか捉えていません。
外部で発生した新しい文化はなかなか取り入れられず、独自の文化構造が残っていくのが田舎です。いわばガラパゴス文化です。
としたうえで、この記事。
若者が草食化した本当の理由 - 統計学+ε: 米国留学・研究生活
上記のような特徴を踏まえ、また、田舎者としての感覚としても、若者の草食化は都会で顕著な現象だと思いました。
ちなみに統計データは何もありません。
リンク先の記事では、大学生の「貧困化」が草食化の原因だと書かれていましたが、俺が思うに、ネットの普及・おたく文化の大衆化・お一人様市場の開発が草食化の原因だと思います。
どれも「一人で」楽しめる時間の使い方なのですが、ネットつなぎ放題の携帯一人一台時代の到来・漫画やアニメなどのオタク文化からの脱却・一人カラオケなどの「おひとり様」市場拡大というのが、どれも今から10年ほど前の若者の草食化が話題になり初めた時期と重なります。
特に、それまで誰しも恥じていた「おひとり様」市場を拡大させるために、各種メディアによる「おひとり様」は自由で楽しいものだ、恥じるべきではない、という印象操作が行われたのは言うまでもありません。
何せ新しい市場なので、開発さえすれば多くのお金が動くのですから。
これにより、
・同性と過ごす時間
・異性と過ごす時間
という価値観に加え、
・一人で過ごす時間
も価値を得ました。
その頃、(入学していれば)ちょうど大学生だった俺には、地元の田舎で就職する友達と、大学生としてわりと都会で生活する友達、田舎の大学周辺で生活する友達がいました。
あまり長ったらしく書くのもあれなので、結論から言うと、都会の大学に行った友達は新しい価値観である「おひとり様」を満喫していましたので、確かに恋愛に対して関心が低かったのですが、地元就職組と田舎の大学生組は恋愛に積極的で、時々タッグを組んだりして彼女探しに奔走していました。
なぜ差が生まれたのか。
始めに書いたように、田舎には外部に生まれた新しい価値観も弾き飛ばす田舎の目というものがあるため、おひとり様はカッコ悪いものであるという価値観が抜けません。
さらに、1人で楽しむ環境も整っていません。単純に娯楽施設そのものが少ないことに加え、例えば、俺の地元にはスタバでゆっくり1人の時間を過ごしたくても、それが存在するのは知り合いだらけのイオンだけだし、1人焼肉や1人カラオケを楽しみたくてもバイトには友達や後輩が必ずいる状況なので、あの人は寂しい人みたいな噂が瞬く間に拡がるのが目に見えています。
そうした時に、1番の娯楽になり得るのは未だに「恋愛」です。というより選択の余地がないため、惰性でも「恋愛」を娯楽とするしかないのです。外的な刺激を受け付けない文化が良いのか悪いのか知りませんが。
そして、田舎では今でも男のステータスとして運転免許と運転技術そして車、さらには武勇伝があがるでしょう。
何せ車がないと移動手段がありませんから。いや、あることはあるんですけど、最寄り駅まで10キロ近くチャリで移動とかになるので、車は生活必需品であることを含め絶対的なものですし、狭い田舎では学生時代の武勇伝がかなりの確率で広まっているものなのです。
なんかだらだらと纏まりなく続きそうなので強制的にまとめると、今の若者には「恋愛」以外の娯楽を楽しむための環境が整った。ただしそれは都会での生活で生まれるものである。
そして個人的には、楽しみが偏ることなく分散してる都会の方が気楽で良いかなと思う。