金田んち

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結果にライザップ

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同期の結婚披露宴に招待されたので行ってきた。朝は小雨がぱらついてて、せっかくの晴れ舞台なのにおてんとさまも酷なことするよなぁと思ってたけど、昼ごろからカラっと晴れてきて、披露宴が始まる15時には汗ばむくらいの陽気になった。

 

俺が知ってるのは新郎だけだけど、いつも人のこと気にかけてる良いやつなので、やっぱり天も結婚を祝ってやりたくなったんだろうと思う。

 

これまでにも何度か結婚式に招待されたことがあるけど、今日の会場はその中でも一番気に入った。

 

まず披露宴会場に入ってすぐ、たいていの会場では新郎新婦の入場までご歓談くださいみたいになって、新郎新婦の入場後、新郎の挨拶、新郎新婦それぞれの上司の挨拶、それから乾杯って流れだと思うけど、このものの20分くらいが長いこと長いこと。

 

喋ってる本人は面白いこと言ってるつもりなんだろうけど、だいたい新郎新婦と上司の馴れ初めとかについての話だからなんのこっちゃ分からんわってなる。

仮にジョーク交じりで話しても、まだまだ温まってない場の雰囲気だから上手く笑えないで失笑ってのが関の山。

 

でも今日の会場は、新郎新婦の入場前から、テーブルには前菜と各々好きなタイミングで飲み始めて良いように瓶ビールがセットされてた。

各テーブルにはだいたい知った顔のメンバーが座るので、各々乾杯して、ちょうど会場全体の空気が緩んだくらいの頃に新郎新婦の入場になった。

 

会場全体の空気が既に緩くなってるから、入場してくる新郎新婦の表情も緩やかだし、ふつうなら長ったらしく感じるだけの乾杯までの話もそんなに苦痛に感じることはなかった。

 

瓶ビールや前菜を出すタイミングが少し違うだけで、苦痛に感じていた時間がこれほど変わるもんなんだなって感心した。

 

次に余興。

 

余興ってたいがい新郎新婦を含めた身内だけが楽しめるようなものが多い印象なんだけど、今回は新郎新婦どちらがわの余興も会場全体が楽しめるし、全体に対するサプライズで、どちらも動画だったんだけど、完成度が素晴らしすぎた。

 

まずは新婦の友人がつくったらしい余興の動画。

新郎新婦の共通の趣味はテニスで、テニスをテーマにした動画が流れて、まぁそれだけどもすごいいい出来だなぁって感心するくらいの完成度だったんだけど、最後。

動画の最後に、今をトキメク錦織圭からのメッセージ。

「(新郎)さん、(新婦)さん、ご結婚おめでとうございます。~~」みたいな。

これには会場中がざわめくし、俺もテニスが好きだから興奮して

「やべー!やべー!はぁっ!?まじで!?」

ってなった。

 

新郎は3度の飯よりテニスが好きみたいなテニスオタクで、今まで行った旅行で一番楽しかったのもテニスの観戦って書いてたくらいで、趣味もそこまで熱中すればとんでもない領域まで行ってしまうんだなって思った。

 

新婦側と比べると多少見劣りはするけど、新郎側のテニス仲間が作った動画もすごかった。

 

こっちもテニスといえばスポーツ、スポーツといえば「渇っ」でお馴染みの例の番組をアレンジして作られてた。結婚に対して「あっぱれ」とか。

んで、その合成動画の切り貼りの巧さもさることながら、面白かったのは途中に入れたCM。

 

披露宴で流す動画にCMいらんやろって感じるだろうけど、そのCMも合成で凄かった。

元CMはライザップだったんだけど、新郎のテニス仲間が5人くらい登場して、本物のCMさながらにみんなライザップしてた。みんなビフォーはぶよぶよの腹で、アフターはシックスパックになってた。

体型のビフォーアフターの後に実績報告みたいに-○kgって出てたけど、平均して10kgはライザップしてて、一番凄い人は16kg痩せてた。

 

たかが友人の結婚式の余興でよくそこまで出来るよなと思ったけど、そうやって駆り立てるくらい、新郎は友人に対して情があついからこんな凄いことも平気でやれるんだよなって感じた。

 

ちなみに俺も同じテニス仲間なんだけど、その話がこなかったのは助かったと思った。今でも50kgくらいしかないから、たぶんライザップしてみんなと同じくらい減量したらゾンビになってたと思うから。

 

んで、最後はクライマックスの新婦の手紙。

 

なんだけど、その前に複線として、新婦のお色直し中に新郎がお母さんへの手紙を読んでた。

「~~。お母さんの作る手料理をこれからも楽しみにしてます。俺もお母さんに言われるように気をつけるから、お母さんも体に気をつけてください。」

みたいなの。

 

それからキャンドルサービスとか色々あって、クライマックスの新婦の手紙。

意地っ張りな自分を育ててくれた親への感謝があり、結婚を承諾し温かく迎えてくれた新郎の家族への感謝があり、そして最後。

 

「お母さん、私に○○家の味を教えてください。」

 

さりげなく、ほんとに短い言葉なんだけど、俺はこのフレーズに鳥肌がたった。たぶん新郎も両親もゲストも、会場中が、その短い言葉だけでKOされたと思う。

 

新郎がお母さんに向けた手紙にも「美味しい手料理を食べたい」って書いてあって、新婦が呼んだ手紙には「味を教て」と書いてある。

 

たぶんお互いがお互いで考えた手紙なのに、共通するものがある。サプライズにサプライズを重ねるようなもの。

結婚式のプランナー達って、感動を作る仕事なんだろうけど、これが仕組まれているとしても凄いなぁって思うし、偶然だとしたらこの夫婦はヤバいと思った。

 

たた残念なことがひとつ。

 

新郎の上司らしき人が、たぶん会場の心地よさにも酔ったんだろうけど、酔いつぶれて一人では歩けなくなってた。青ざめた顔で一緒の職場の人に肩を借りて、会場の車椅子で会場を後にして、路上で「次ぎ行く」とかほざいてたけど、仲間に止められてた。でもたぶん最寄り駅のスナックとかに行きそうな感じだったな。

 

普段から色んなものを溜め込んでるせいか、その人のお腹はパンパンに膨らんでた。

 

部下の晴れ舞台で醜態をさらして、ほんと、結果にライザップして欲しいと思った。